ヒーローの本拠地は、やはりアメリカだろうか。スーパーマン、バットマン、スパイダーマンといった数々のヒーローを世に輩出し、救出劇などで活躍した人物をヒーローとして崇めるアメリカ。独立から現在に至るまで、戦争によって覇権を拡大してきたかの国では、ヒーローは最大級の褒め言葉といっても過言ではないかもしれない。
しかし、ヒーローはアメリカの専売特許ではない。そんな当たり前のことを思い出させてくれるコミックが今、イスラム圏で一大旋風を巻き起こしている。イスラムをモチーフにしたヒーローコミック「The 99」だ。
原作者はクウェートの心理学者、ナイフ・アル・ムタワ氏。同氏によると、作品誕生の背景には、イスラムの正しい教えを知ってほしいという思いと、異文化への理解を深めてほしいという2つの思いがあるという。とはいえ、ストーリーの軸となるのは愛や善といった普遍的なテーマで、宗教色が極端に濃いわけではない。
画風にはアメコミの影響が感じられるが、アメコミにありがちな暴力シーンや性描写はなく、また女性のボディラインの誇張も控えめで、イスラム圏の読者にも配慮がなされている。同作品は現在に至るまで、英米を含め世界20カ国、8カ国語に翻訳され、年間100万部を売り上げているという。クウェート本国ではテレビアニメ化されたうえ、関連のテーマパークまで誕生する人気ぶりだ。
「The 99」にはその名のとおり、99人ものヒーローが登場する。これは、イスラム教の神、アッラーが持つとされる99の美名を人格化したもので、キリよく100人でも、1人が行方不明で98人でも物語は成立しない。また、この99という数値はヒーローの数にとどまらず、世界中から集結したヒーローたちが探すのも「古代の英知を伝える99の宝石」だという。いくら99人という人海戦術を用いても、99もの宝石を見つけるとなると、ドラゴンボールの7個を上回る試練が予想されるが、そこは神の美名を人格化したヒーローたち。力を合わせて試練に打ち勝つのだろう。
あいにく日本語版の発売は未定だが、諦めるのはまだ早い。公式サイトでは、英語版とアラビア語版のダウンロード販売を行っており、サンプル版と壁紙については無料でダウンロードできるようだ。一見の価値アリである。
参考映像
【THE 99 Animation Preview】
「The 99」公式サイト「The 99」コミック購入ページ(公式サイト内)
「The 99」壁紙ダウンロード(公式サイト内)
アッラー 99の美名