「千と千尋の神隠し」「もののけ姫」「ハウルの動く城」と、テレビ初登場時には必ず高視聴率をマークしてきた宮崎アニメ。その詳細は
既報のとおりだが、去る2月5日に放送された「崖の上のポニョ」も高視聴率をはじき出したようだ。ビデオリサーチ社によると、ポニョの平均視聴率は29.8%(関東地区)。当初の予想どおり、前掲3作品のテレビ初登場時のような「異常な高視聴率」には及ばなかったが、テレビ冬の時代においてはなかなかの好成績といえるだろう。
一方、海外からは少々残念なニュースが届いた。米映画芸術科学アカデミーは2日、第82回アカデミー賞のノミネート作品を発表。長編アニメ映画部門で審査対象になっていた「崖の上のポニョ」は、惜しくもノミネートには至らなかった。
宮崎アニメはこれまでに、「千と千尋の神隠し」が第75回アカデミー賞で長編アニメ映画賞を受賞。「ハウルの動く城」も本選ノミネートと健闘しているが、受賞には至っていない。アニメ大国の日本でトップを行く宮崎アニメ、それも世界中にファンがいる宮崎アニメですら苦戦を強いられている――たが、ここで少々見方を変えてみよう。
そもそも、アカデミー賞・長編アニメ映画賞は2001年の設立と、80年の歴史を誇るアカデミー賞のなかでもとりわけ歴史が浅い。これまでに長編アニメ映画賞を受賞した作品は8作品。そのうち、「千と千尋の神隠し」を除くと、米国製作の作品が6作品、残る1作品も英国製作と、英語圏の作品で占められている。こうした状況での「千と千尋の神隠し」の受賞、ならびに「ハウルの動く城」の本選ノミネートは、大きな功績といえるだろう。
ついに公開日が決定
また昨今、ジブリファンが気になっていたのは、最新作「借りぐらしのアリエッティ」の公開日だろう。そう、いよいよである。ついに、公開日が発表されたのだ。2010年7月17日(土)の封切で、ジブリの広報によると、多数の観客を見込める夏休みを意識したものだという。7月17日は海の日の3連休の初日にあたるため、多くのファンが劇場に詰めかけることだろう。
ジブリのプロデューサー・鈴木敏夫によると、宮崎が「借りぐらしのアリエッティ」の構想を打ち明けたのは2008年の初夏だったという。
長編アニメーション企画 「小さなアリエッティ」80分
メアリー・ノートン作「床下の小人たち」より
舞台を1950年代のイギリスから、現代2010年の日本に移す。
場所は見慣れた(筆者註:ジブリ本社のある)小金井かいわいで良い。
古い家の台所の下にくらす小人の一家。
アリエッティは14歳の少女、そして両親。
くらしに必要なものはすべて床の上の人間から借りてくる
「借り暮らし」の小人たち。
魔法が使えるわけでもなく、妖精でもない。
鼠とたたかい、ゴキブリや白蟻になやまされつつ、
バルサンや殺虫スプレーをかわし、
ゴキブリホイホイや硼酸ダンゴの罠をのがれ、
見られぬように目立たぬよう慎ましくも
用心深く営まれる小人たちのくらし。
危険なかりに出かける父親の勇気と忍耐力、
工夫し切り盛りし家庭を守る母親の責任感、
好奇心とのびやかな感受性をもつ、少女アリエッティ。
ここには古典的な家族の姿がのこっている。
見慣れたはずのありきたりの世界が、
身の丈10cmほどの小人たちから眺める時、
新鮮さをとり戻す。
そして、全身を使って働き動く小人たちのアニメーションの魅力。
物語は、小人たちのくらしから
アリエッティと人間の少年の出会い、交流と別れ。
そして、酷薄な人間のひきおこす嵐をのがれて、
小人たちが野に出ていくまでを描く。
混沌として不安な時代を生きる人々へ
この作品が慰めと励ましをもたらすことを願って……。
2008.7.30
以上が、公式サイトで明かされている、当初宮崎が示したという企画書だ。その後、前出の鈴木の提案などもあり、タイトルは「借りぐらしのアリエッティ」に改題。監督には、宮崎から意見を求められた鈴木の発案で、ジブリの名アニメーター・米林宏昌が抜擢された。米林は「崖の上のポニョ」で“ポニョ来る”のシーンを担当し、その巧みさから宮崎を唸らせた“実績”があるという。
そんな米林が監督を務める「借りぐらしのアリエッティ」は鋭意制作中。7月17日(土)の公開が待たれるが、ジブリの広報部長・西岡純一はこう語る。
「まだまだ制作は途中で、スケジュールも遅れ気味です。これを取り返すために、公開日延期ということもできないので、本当に死に物狂いで作品を上げなくてはいけなくなりました」
公開日の延期も心配だが、スタッフの過労も心配だ。ご自愛いただきたい。
<ライター・綾路すみ>
「借りぐらしのアリエッティ」公式サイト【ぷちジブリ特集】2月5日放送「崖の上のポニョ」の行方(本サイト内)
【ぷちジブリ特集】「もののけ姫」に隠されたテーマ ~タタラ場の意味するところは?~(本サイト内)