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水木イズム-ゲゲゲの「手長足長」- 日刊テラフォー
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 運動をせずとも熱い陽射しが水分をむしり取る。唐突に倒れたかと思えば命も落とす人が増えているという。熱中症にご注意を。油断すれば死の世界。彼岸と此岸の境目はほんの一歩程度しかないのだろう。

 水木イズム第六十一回。前回は音の怪「うわん」についての講釈をさせていただいた。今回は元祖ニコイチの妖怪について講釈させていただく。そんな今回紹介するブロンズ像はこちら。
 
 二人で一人「手長足長」である。見ての通り、この妖怪は手の長い妖怪が足の長い妖怪に常に肩車をして貰っているコンビ妖怪である。なんと仲むつまじい妖怪なのだろうか。一説にはこの二人の妖怪は夫婦であるとされることもあるようだ。

 そんな一見、ほほえましい妖怪なのであるが、この妖怪、実はかなり凶暴な妖怪である。なんと人を食うのだ。三本足の鴉が派遣され、この妖怪が居れば「うや」、居なければ「むや」と鳴くように神が指示した為に、有耶無耶の関と呼ばれる峠があるのだという。ちなみに、この手長足長はあまりにも凶暴であるために退治されてしまった。その為に今ではその姿を見ることはないのだという。安心していただきたい。

 他の伝承では諏訪明神の家来とされており、それぞれの足長神社や手長神社が建てられ奉られている地域もある。また、不老長寿の神仙として枕草子にて語られており、なかなかに由来ある妖怪だということが出来る。

 水木しげるロードの手長足長は手長国の手長人と、足長国の足長人という設定になっている。ゲゲゲの鬼太郎が幽霊族であることを考えれば、そのような他民族であるという認識で良いのかも知れない。

 水木しげる先生自体、ゲゲゲの鬼太郎たちのキャラクターというものは南方民族の方々の思想を取り入れていると公言している。妖怪とは日本人ではない別の文化で育って民族なのだということなのだろうか。

 しかし、そういう考え方もまた面白い。その方が妖怪が活きてくるというものである。妖怪との交流は異文化コミュニケーションなのだ。語り合う為には共通言語が必要とされる。それが自国文化の知識というものなのかもしれない。

 母国語を知らなければ外国語を話すことは出来ない。これはどこぞの古人が言っていた言葉であるが、まさしくその通りなのである。基礎が出来ていなければ応用することは出来ない。妖怪文化を知るためには母国文化を知らなければいけない。

 知ることとは愛することである。もっと日本を愛そうじゃないか。それがひいては妖怪を愛することになるのである。


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水木イズム バックナンバー
第五十六回 「閻魔大王」
第五十七回 「見上げ入道」
第五十八回 「竜」
第五十九回 「砂かけ婆」
第六十回 「うわん」
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