昨夜、蝉が脱皮している瞬間に立ち会った。虫などの脱皮にはもくりこくりが関わっているという。もくりこくりは病魔も剥がしてくれるらしいので敬いたいところだ。そうして、この水木イズム。とうとう今回で第六十回を迎える運びになった。有り難い話である。
前回はゲゲゲの一味である「砂かけ婆」についての講釈をさせていただいた。今回は少々マニアックな妖怪の講釈をさせていただこう。そんな今回紹介させていただくブロンズ像はこちら。
この妖怪、名を「うわん」という。夜道歩いているとどこからともなく大声で「うわん」と叫んでくる妖怪だ。姿形はやはり見えない。事象としてはまたもや音だけの妖怪である。
柳田國男は妖怪の名は重要であるとし、水木しげる先生は妖怪とはすなわち音より生まれ音に宿るとされている。それらの事項は妖怪を知れば知るほどに、なるほどその通りと納得させられてしまうものだ。
それほどまでに音の怪は多い。
このうわんであるが、そのうわんという声に対して驚いてしまうと命を奪われてしまうことがあるそうだ。対処法はひとつ。うわんと来たら、うわんと返さなければならない。ただそれだけで退けることが出来るそうである。
他にも寝間でえんえんとうわんが叫び続けた為に眠れなかった夫婦の話なんてものもある。かなり傍迷惑な妖怪のようだ。熊本の方ではお化けのことを「わんわん」というらしい。そのあたりからの派生なのではないかと見られているようだ。
つまり、怖いものの総称として「うわん」が使われていたのではないかということである。同じようなものとしては「がごぜ」や「ももんがあ」などがある。妖怪と言う言葉、お化けと言う言葉は後々制定されたものである。こうしたものにも本来は土地各々の呼び名というものがあったわけだ。
沖縄ではキジムナがそれに当たるのだろうか。折角だから、次あたりはキジムナを取り上げることにしよう。
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水木イズム バックナンバー
第五十五回 「天井なめ」第五十六回 「閻魔大王」第五十七回 「見上げ入道」第五十八回 「竜」第五十九回 「砂かけ婆」